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当社で取り扱っている蛍光染料の使い方と特性

○トレーサー試験(地下水・表流水・パイプライン等)用

○漏水調査・リークテスト用

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 蛍光染料をお使いになる際には、ご利用される現場の状況に応じて、ここに記述されている特性をご参照ください。

 このページに記述してある事項は、当社で取り扱っている蛍光染料(黄緑(ウラニンNaまたはフローレッセン)および赤(ローダミンWT))について、一般的特性と、水域での特性をお示ししています。当社取り扱いの蛍光染料は、水域調査専用として開発・製造されているものですので、試薬や法定染料とは異なり、非常に濃縮されたものとなっています。従いまして、本ページにお示ししている使用量は、それらの試薬や法定染料には適用できません。またここに記述している特性についても、試薬や法定染料とは一致するものではありません。さらに、当社取り扱い以外の染料(例えば青、オレンジ、赤(ローダミンB)等)については、この技術資料の対象外であり、ここの記述内容とは異なりますので、ご注意下さい。

ページ内目次

  1. トレーサー染料に関するQ and A
  2. 現場で使用する際の、トレーサー色の選択についての考え方
  3. 各色の蛍光光度特性
    1. 当社で取り扱っている製品の特性
    2. ローダミンWTとフルオレセインナトリウムの一般的な特徴
  4. 形状の特性
  5. 蛍光剤(赤色(FWT RED))技術資料
  6. 蛍光剤(黄緑色(FLT YELLOW/GREEN)技術資料
  7. 安全性や国内法規制情報
    1. 安全性情報
    2. 日本の国内法令等規制情報
  8. 保管方法
  9. 流れの調査として参考となる資料

1.当社で取り扱っているトレーサー染料(黄緑 FLT Y/G(ウラニン・フローレッセン)および赤 FWT Red(ローダミンWT))に関する Q and A

Q1この製品(蛍光染料トレーサー)はどのように機能しますか
Answer:
Q2錠剤タイプ、粉体状タイプ、液状または固形タイプのうち、どれが最も良いですか
Answer:
Q3粉体または液体タイプは、高価ではありませんか
Answer:
Q4蛍光染料のどの色を使用するのがよいでしょうか
Answer:
Q5私はどの形状タイプの染料を使用したほうがよいでしょうか
Answer:
Q6環境に対しこの製品は安全ですか
Answer:
Q7私は水系のトレーサーとしてどの製品を利用したら良いでしょうか
Answer:
Q8この製品はどのくらい水を着色するでしょうか
Answer:
Q9薄い濃度ではどのように検出すれば良いでしょうか
Answer:
Q10錠剤タイプのこの製品を飲んでしまった場合、何をするべきですか。この製品に毒性、危険はありますか
Answer:
Q11どのようにしたら色を消すことができますか
Answer:

2.現場で使用する際の、トレーサー色の選択についての考え方


3.測定における蛍光の特性

3−1.当社で取り扱っている製品の特性(黄緑 FLT Yellow/Green(ウラニンまたはフローレッセン)および赤 FWT Red(ローダミンWT))

環境適合性 検出可能性 vs. 対象の水域水量 抵抗性 (Resistance To:) 性能総合評価
バックグラウンドの蛍光 pH 蛍光光度計 Temperature Fluctuation 最大励起波長
(Absorption)
最大蛍光波長
(Emission)
Absorption on Suspended Sunlight Degradation
5-7 7-11 Minerals Organics
赤色
(FWT Red)
Rhodamine WT
VG E VG E G 550nm 588nm VG G E VG
黄緑色
(FLT Yellow/Green)
Sodium Fluorescent
G P P E G 490nm 520nm VG G P G

E =Excellent; VG =Very Good; G =Good; F =Fair; P =Poor 

3−2.赤(FWT Red)と黄緑(FLT Yellow/Green)の一般的な特徴

 CAS番号とカラーインデックス

 近年は以下の特徴から、赤(ローダミンWT)が多く使われるようになっています。

参考文献:Turner Designs Solutions (Oct 1998), Bulletin No.103, "Fluorescein".


4.形状の特性

 赤(FWT Red)、黄緑(FLT Y/G)ともにほぼ同じ形状特性です。

全般的な
使いやすさ
検出方法 分散速度 計測対象の水量
目視 U.V.
ランプ
蛍光
光度計
0〜20,000gal.
(0〜76,000L)
20,000〜50,000gal.
(76,000〜190,000L)
over 50,000gal.(190,000L〜)
錠剤タイプ E E E F Rapid -
液状タイプ VG E E E Very Rapid
粉状タイプ G VG VG G Moderate -
固体タイプ VG VG G P Slow/Moderate - -

E =Excellent; VG =Very Good; G =Good; F =Fair; P =Poor


5.赤色(FWT RED)蛍光染料技術資料

 "FWT Red"の製品(液体・粉体・錠剤・固体)は、水の流れの状況(流況)と漏水検出の調査・研究において、最も使いやすいように作られたローダミンWT(Rhodamine WT)染料です。 この赤色蛍光染料は、米国において、NSFのANSI/NSF Standard60によって、飲料水に使用できると認証されています。 この製品を用いた場合の流況調査は、容易に目視で確認できるほか、紫外線ランプと蛍光光度計によって、適切に染料を検出できます。 染料を用いた調査では、米国では最も多く使用されてます。色は、水中では赤からピンク色で、紫外線の光に当てると明るいオレンジとなります。

 この染料は、清水と塩水の中の浮遊物質に対する吸着に、抵抗性があります。 また"FLT Yellow/Green"製品と比べて、著しく太陽光による減衰に抵抗性があります。さらに蛍光光度計を使用して定量濃度測定を行う場合、バックグランドに対して、明確に検出することができます。

○一般的特性(FWT Red)
  FWT RED 錠剤(Tablets)
8-TR-0002R
FWT Red 液体(Liquid) FWT RED 粉体(Powders)
8-TR-0003R
8-TR-0001-1R
8-TR-0001-2R
8-TR-0001-1R(+50)
特濃縮タイプ
8-TR-0001-1R(+200)
超濃縮タイプ
有効成分の検知性(Detectability of active ingredient) ※1 目視確認: <100 ppb 目視確認: <100 ppb 目視確認: <100 ppb
最大励起 / 蛍光波長 ※2 550 / 588 nm 550 / 588 nm 550 / 588 nm
外形 暗い赤〜紫色
直径約1.6cmの凸状の錠剤
澄んだ暗い赤色、水溶液 暗い赤色、細粒の粉状
飲料水へ使用できる最大濃度(NSF) 0.3 ppb 0.8 ppb 0.1 ppb
重さ 1.05 grams ± 0.05
(この重さは、製造時に想定している重さであって、実際の製品は多少の幅があります。)
n/a n/a
溶解時間 ※3 50% < 3 minutes
95% < 6 minutes
Immediately 50% < 3 minutes
95% < 6 minutes
比重(原液) n/a 1.03 ± 0.05 @ 25°C 1.15 ± 0.05 @ 25°C n/a
粘性(原液) ※4 n/a 1.3 cps 4.3 cps n/a
pH(原液) n/a 8.7 ± 0.5 @ 25°C 10.6 ± 0.2 @ 25°C n/a
○大まかな着色の度合いと量(FWT Red)
  FWT RED 錠剤(Tablets)
8-TR-0002R
FWT Red 液体(Liquid) FWT RED 粉体(Powders)
8-TR-0003R
8-TR-0001-1R
8-TR-0001-2R
8-TR-0001-1R(+50)
特濃縮タイプ
8-TR-0001-1R(+200)
超濃縮タイプ
添加製品量 1錠 1パイント(0.47L)添加の場合 1ポンド(0.45kg)
薄い着色 (100 ppb)となる水の量 604 gallons
(2,295.2 L)
31,250 gallons
(118,750 L)
62,500 gallons
(236,588 L)
250,000 gallons
(946,353 L)
604,000 gallons
(2,295,200 L)
濃い着色 (1 ppm)となる水の量 60 gallons
(228 L)
3,125 gallons
(11,829 L)
6,250 gallons
(23,659 L)
25,000 gallons
(94,635 L)
60,400 gallons
(228,639 L)

6.黄緑色(FLT YELLOW/GREEN)蛍光染料技術資料

 "FLT Yellow/Green"の製品(液体・粉体・錠剤・固体)は、水の流れの状況(流況)と漏水検出の調査・研究において、最も使いやすいように作られたフルオレセインナトリウム(Sodium Fluorescent、またはNa-fluorescein、最近の言い方はウラニン、国内での通称はフローレッセン)染料です。 この染料はトレーサーと漏出検知剤として、従来より使われてきています。また水をラベリングする調査に使われています。UVランプによる目視の確認と、蛍光光度計により検出できるでしょう。 このトレーサー染料は目に見えるようにする調査において、ほぼ常用されています。 この染料は、非常に大きい水域において、着水落下したパイロットを救出するための水へのマーカーとして、米軍に使用されています。 この"FLT Yellow/Green"製品は、UVライト下では、その濃度にもよりますが、ライムグリーンの蛍光色としてみることができます。

 生物化学的酸素要求量(BOD)研究では、7日間後に有効酸素の65%が消費された状態で、この製品は生物分解可能です。 この染料は、清水と塩水の中の浮遊物質に対する吸着に、抵抗性があります。また"FWT Red"の製品と比べて、日光により容易に劣化します。さらに蛍光度を測定する場合、バックグラウンド値よりも低くなる可能性があります。

○一般的特性(FLT Yellow/Green)
FLT Y/G 錠剤 (Tablets)
8-TR-0002YG
FLT Y/G 液体 (Liquids)
8-TR-0001-1YG, 8-TR-0001-2YG
FLT Y/G 粉体 (Powders)
8-TR-0003YG
有効成分の検知性 (Detectability of active ingredient) ※1 目視確認: <100 ppb 目視確認: <100 ppb 目視確認: <100 ppb
最大励起 / 蛍光波長 490 / 520 nm 490 / 520 nm 490 / 520 nm
外形 濃いオレンジ色
直径約1.6cmの凸状の錠剤
赤褐色、水溶液 オレンジ色、細粒の粉状
飲料水へ使用できる最大濃度(NSF) 6.0 ppb 10.0 ppb 1.0 ppb
重さ 1.35 grams ± 0.05
(この重さは、製造時に想定している重さであって、実際の製品は多少の幅があります。)
n/a n/a
溶解時間 ※3 95% < 6 minutes Immediately 50% < 3 minutes
95% < 6 minutes
比重(原液) n/a 1.05 ± 0.05 @ 25°C n/a
粘性(原液) ※4 n/a 1.8 cps n/a
pH(原液) n/a 8.5 ± 0.5 @ 25°C n/a
○大まかな着色の度合いと量(FLT Y/G)
  FLT Y/G 錠剤 (Tablets)
8-TR-0002YG
FLT Y/G 液体 (Liquids)
8-TR-0001-1YG, 8-TR-0001-2YG
FLT Y/G 粉体 (Powders)
8-TR-0003YG
添加製品量 1錠 1パイント(0.47L)添加の場合 1ポンド(0.25kg)
薄い着色 (100 ppb)となる水の量 605 gallons
(2,299 L)
125,000 gallons
(475,000 L)
1,200,000 gallons
(4,560,000 L)
濃い着色 (1 ppm)となる水の量 60 gallons
(228 L)
12,500 gallons
(47,500 L)
120,000 gallons
(456,000 L)

7.国内法の規制情報

7−1.安全性情報

7−2.日本の国内法令等規制情報

 国内法令等による規制に関する情報は、最新の情報をご確認いただくため、国等により整備されている各種のデータベースにアクセスいただくことが最適です。
 ここでは、「nite − (独法)製品評価技術基盤機構」による「化学物質総合情報提供システム(CHRIP)」データベースをご紹介します。CHRIPデータベースでは以下の法令等にかかる情報を調べることができます。
 なお、CHRIPデータベースが網羅している法令等に変更があった場合、弊社ではその内容を把握する立場にありません。必要とされる法令等がある場合は、その法令等を網羅しているのか、CHRIPデータベースでの確認をお願いいたします。
 また、当社はCHRIPデータベースの内容について、一切の責任を有しません。

○「化学物質総合情報提供システム(CHRIP)」データベースの検索の方法

  1. データベースに接続する。
    1. 化学物質総合情報提供システム(CHRIP):http://www.safe.nite.go.jp/japan/db.html
  2. 表示されるデータベースの免責事項に同意できるようであれば、その先に進む。
  3. 「化学物質から調べる」と「法規制等から調べる」の選択表示から、「化学物質から調べる」を選択し、その先へ進む。
  4. キーワード検索に以下のCAS番号を入力し、右側の選択リストから「CAS RN」を選択。さらに、その他の必要な条件を選択・入力。最後に入力内容を確認し、「検索実行」クリック。
    1. 赤(FWT Red)ローダミンWT:CAS No. 37299-86-8
    2. 黄緑(FLT Yellow/Green)ウラニン:CAS No. 518-47-8
  5. CAS番号に対応した物質について、検索結果が表示される。
  6. 検索結果として表示された「国内法規制情報」や「有害性・リスク評価情報」に表示された内容を確認し、必要であればそれぞれの項目を選択し、その先へ進む。
  7. 国内法規制等の個別の内容が表示される。
    1. 検索結果について当社にお問い合わせいただきましても、申し訳ございませんがお答えできません。
    2. また、当該サイトの使用法の変更により、ここに書いた手順とは異なる場合があります。

8.保管方法

 当製品は、赤色(FWT RED)も黄緑色(FLT YELLOW/GREEN)も、その形状(液体・粉体・錠剤・固体)に関係なく、化学的に安定しています。したがって、以下の方法に従い、保管をしてくだされば、一般的に考えられる程度の長い期間にわたってご使用いただくことができます。
 ただし、具体的な期間は、保管方法や、ご使用になられた際の容器からの取り出し方等にもより、大きく異なります。

○保管に際して、以下のことをお守りください。

  1. 粉体、液体、錠剤、個体いずれも、それ自体に光が当たらないようにする。また、温度をできるだけ常温で一定にし、極端な温度変化を与えないようにする。
  2. 粉体、錠剤、個体は湿度を避け、シリカゲルなどで湿度の管理を行う。容器の外部にシリカゲルを置いても、容器内の湿度管理とはなりません。また、シリカゲルは、定期的に水分を飛ばすなどの管理を忘れずに行ってください。
  3. 液体は、蒸発をさせない。容器内での蒸発が起きる可能性も想定する。また、凍らせないこと。

○ご使用と保管についてのご注意

  1. 現場で使用する際は、販売した際に入っていた容器をそのまま現場に持ち込むのではなく、あらかじめ室内でご使用する分を小分けして、それを持っていくこと。
    1. 粉体・錠剤の場合:現場は水に近いことから、取り扱い時の水分や湿気が、粉体や錠剤を入れている容器内に入ってしまうことを避けるためです。容器を開けた際に、水しぶきや、高い湿度の空気、手に付いた水が入り込んでしまうことが多く発生します。
    2. 液体の場合:粉体や液体と同様に、現場の水分が、容器の中に入ってしまい、成分の安定が損なわれる可能性があるためです。もちろん、湿気程度では問題が無いように思われますが、現場でどのような事態になり、水が入ってしまうかわからないためです。
  2. 小分けしたものは使い切り、保管容器には戻さないこと。
    1. 吸湿した粉体・錠剤・個体は、保管容器内で水分を放出し、容器内で、他へ湿気を移してしまいます。これを避けるためです。

9.染料による流況調査に関して参考となる文献

○調査方法:Techniques of Water-Resources Investigations Reports (U.S. Geological Survey)
 USGS(米国地質調査所)による水資源調査(通称TWRI)の技術解説書です。このうち染料トレーサーの調査方法については、Book3-A9、Book3-A12、Book3-A16に、具体的で詳細な解説があります。
○調査計画:Tracer-Test Planning Using the Efficient Hydrologic Tracer-Test Design (EHTD) Program 2005
 トレーサーを使用する場合の計画立案のためのPC-Windows用プログラムです。このプログラムによって、トレーサー投入量、サンプリングの時期・頻度などを、あらかじめ試算することができます。特に、トレーサーが未検出で通過してしまうことを避けたいばかりに、投入と同時にサンプリングを開始したり、またサンプリング間隔を短くしたりしてしまいがちです。このプログラムは、効率的にトレーサー試験を行う計画の立案を手助けしてくれるツールです。

以上


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更新日:2022年3月15日

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